S&P500の3倍を1928年から計算した
3倍のレバレッジETFは、始まってからまだ十数年です。それより前に何が起きたかは、指数の毎日の値動きを3倍して計算するしかありません。ここでは、取れる中でいちばん古い1928年からの値で計算しました。
1928年から持ち続けると(費用なし)
1倍: 100万円が4億3,327万円(年率6.3%)。最大下落は−86.2%(1929年9月〜1932年6月)。高値に戻ったのは1954年9月で、高値から約25年でした。
2倍: 100万円が53億3,891万円(年率9.1%)。最大下落は−98.8%。高値に戻ったのは1964年1月で、約34年でした。
3倍: 100万円が16億5,888万円(年率7.8%)。最大下落は−99.98%(1929年9月〜1942年4月)。高値に戻ったのは1987年1月で、高値から57年かかりました。
3倍は、2倍より増えませんでした。大恐慌の下げで資産がほぼゼロ近くまで減り、そこから戻るのに半世紀以上かかったためです。
200日移動平均で降りると(費用なし)
S&P500(1倍)の終値が直近200日の平均より上なら3倍を持ち、下なら現金にする、という公開の研究で知られたルールです(Gayed & Bilello 2016)。判断の翌日の終値で入れ替えます。平均が計算できる1928年10月16日から比べました。
3倍・200日で降りる: 年率16.9%。最大下落は−93.6%(1929年9月〜1933年4月)。高値に戻ったのは1946年1月(高値から約16年)。
3倍・持ち続ける(同じ日から): 年率7.2%。最大下落は−99.98%。

降りるルールでも、大恐慌の下げは−93.6%まで避けられませんでした。それでも、ゼロ近くまでは行かず、戻るまでの長さは57年から約16年に縮みました。
経費と借入の金利を入れると(1960年から)
3倍のETFには経費があり、借りて増やした分には金利がかかります。年1%の経費と、借りた分に短期の米国債(3か月)の金利をかけて計算しました。金利が取れる1960年からです。降りた間の現金には、同じ金利がつくとしました。
1倍(経費1%): 100万円が6,551万円(年率6.5%)。
3倍・持ち続ける: 100万円が1,284万円(年率3.9%)。最大下落は−98.7%(2000年3月〜2009年3月)。
3倍・200日で降りる: 100万円が26億1,382万円(年率12.5%)。最大下落は−61.9%(1999年7月〜2002年4月)。
2倍・200日で降りる: 100万円が9億595万円(年率10.7%)。最大下落は−43.9%。
費用を入れると、3倍を持ち続けた場合は1倍より増えませんでした。途中で2000年からの下げと2008年の下げを続けて通り、−98.7%まで下げています。
2010年からの16年(費用あり)
3倍・持ち続ける: 100万円が3,689万円(年率24.0%)。日々の値で最大の下げは−76.8%(2020年2月〜3月)。
3倍・200日で降りる: 100万円が1,255万円(年率16.3%)。最大下落は−55.6%。
上げが続いたこの16年では、降りるルールは持ち続けるより増えませんでした。
わかること
3倍を長く持つ時の結果は、どの期間を通るかで大きく変わりました。大恐慌を通ると、持ち続けた3倍は戻るまで57年。費用を入れた1960年からでも、1倍より増えていません。2010年からの上げ相場では、持ち続けた3倍がいちばん増えました。
200日移動平均で降りるルールは、深い下げの期間で最大下落を浅くし、戻るまでを短くしました。上げが続く期間では、持ち続けるより増えにくくなりました。
2倍・3倍の商品を長く持つと何が起きるかは「レバレッジETFを長期保有すると何が起きるか」、デュアルモメンタムとレバレッジを組む研究は「デュアルモメンタムとレバレッジ」にまとめました。
長い期間のデータを見るほど、いつ持つかの判断を毎月続ける難しさも見えてきます。DM-Signalでは、その毎月の判定と過去の検証を、自分で一から作らずに確認できます。
DM-Signalの仕組みと研究を見る → ・ デュアルモメンタム×3倍レバレッジとの比較を見る →
関連するガイド
レバレッジETFを長期保有すると何が起きるか ・ デュアルモメンタムとレバレッジ ・ 暴落から元に戻るまでの期間 ・ 医師の資産形成
S&P500指数(^GSPC)の日次の終値で、配当を含みません。1957年3月より前は90銘柄の指数です。3倍・2倍は毎日の値動きを3倍・2倍して計算した値で、実在のETFの値ではありません。税・売買の手数料・配当は入れていません。最大下落と日付は日々の値、戻るまでの月数は月末の値で数えています。経費と金利を入れた計算は1960年1月からです。