デュアルモメンタムとレバレッジ
レバレッジは、上げも下げも倍にします。持ち続けると、深い谷と、横ばいの時の目減りを両方受けます。仕組みは「レバレッジETFを長期保有すると何が起きるか」にまとめました。
では、下げの時だけ降りられたらどうか。この問いに、長い期間のデータで答えた研究があります。
1928年からのS&P500の研究
Gayed と Bilello の「Leverage for the Long Run」(2016年)は、1928年10月〜2015年10月のS&P500(配当込み)で、レバレッジを持ち続ける場合と、流れのある時だけ使う場合を比べました。流れの判定は200日移動平均で、上にいる時はレバレッジをかけて持ち、下にいる時は短期の国債へ移ります。
研究によると、株価が移動平均の下にいる時は、上にいる時より値動きがかなり大きくなります。レバレッジは、値動きが大きく上げ下げを繰り返す時期にいちばん傷みます。
持ち続けた場合と、降りた場合
倍にしない持ち続け: 年率9.1%、高値からの下げ−86.2%。
2倍を持ち続け: 年率13.7%、−98.8%。
3倍を持ち続け: 年率15.3%、−99.9%。
2倍を流れのある時だけ: 年率19.1%、−78.7%。
3倍を流れのある時だけ: 年率26.8%、−92.2%。

レバレッジを持ち続けると、1929年からの大恐慌のような下げで、資産がほぼなくなる所まで落ちました。降りるルールと組むと、年率が上がり、谷も浅くなっています。ただし3倍では、降りても−92.2%の谷が残りました。
失う物もある
降りるルールは、上げ相場の途中で降りては乗り直すことがあります。研究の表では、1990年10月〜1998年7月の上げ相場で、S&P500の390%に対し、移動平均で出入りした場合は303%でした。売り買いの費用と税を入れると、差はもっと開きます。
デュアルモメンタムと組む
デュアルモメンタムは、月に1回、勢いのある資産を選び、勢いが切れたら守りの資産へ移るルールです。判定の道具は違いますが、「流れのある時に乗り、切れたら降りる」という考え方は同じです。仕組みは「デュアルモメンタムとは」にまとめました。
デュアルモメンタム×3倍レバレッジの DM-Signal と、TQQQ・QLDを同じ10年で並べた数は「TQQQ・QLD・デュアルモメンタムの比べ」にあります。高値からの下げは、TQQQが−80.1%、QLDが−61.9%、DM-Signalが−33.7%でした。
わかること
レバレッジの成績を決めるのは、倍率よりも、どの時期に持っているかです。上げの流れの時に持ち、流れが切れた時に降りるルールは、長い期間のデータで谷を浅くしてきました。
その代わり、上げ相場の途中の出入りで取り逃がす分があります。
このルールを自分で回すには、候補の価格を毎月集めて勢いを比べ、守りへ移るかを計算し続ける必要があります。DM-Signalでは、その毎月の判定と過去の検証を、自分で一から作らずに確認できます。
関連するガイド
デュアルモメンタムとは ・ TQQQ・QLD・デュアルモメンタムの比べ ・ レバレッジETFを長期保有すると何が起きるか ・ 順張り・トレンドフォローとは
研究の数は Gayed, M. & Bilello, C. (2016) "Leverage for the Long Run" の表のまま(1928年10月〜2015年10月、日次、借りる費用年1%、売り買いの費用・税は入れていない)。DM-Signal・TQQQ・QLDの数は2016年9月〜2026年8月の月次のバックテストで、「TQQQ・QLD・デュアルモメンタムの比べ」と同じ注です。