ドルでは戻ったのに円では戻らない
「S&P500は最高値を更新した」というニュースの日に、自分の証券口座を見ると、まだ買った時より少ない。日本からドルの資産を持つ人には、ときどき起きることです。円で見た値は、株の値と為替の両方で動くからです。
比べたもの
ドル建ては、S&P500に連動するETF(SPY)の月末の値。円建ては、その値に同じ日の為替(1ドルが何円か)を掛けた値です。1996年10月から2026年9月までの360か月で、高値から20%以上下げた時期を、ドルと円で別々に数えました。
2008年の下げ: ドルが戻ってから、円はさらに14か月
ドル建て: 2007年10月の高値から2009年2月に−50.8%。高値に戻ったのは2012年3月で、高値から53か月でした。
円建て: 2007年5月の高値から2009年2月に−59.8%。高値に戻ったのは2013年5月で、高値から72か月でした。

ドルで高値に戻った2012年3月、円で見た値はまだ高値より31.0%低いままでした。1ドルは2007年5月の121.75円から、2012年3月には82.27円になっていました。
いつも円の方が遅いわけではない
2000年の下げ: ドル建ては2000年8月の高値から−44.7%、2006年11月に戻りました(75か月)。円建ては1999年6月の高値から−37.4%、2006年3月に戻りました(81か月)。円の方が浅く、戻った月も早いのですが、高値が早かった分、戻るまでの長さは円の方が長くなりました。
2020年: 月末の値で、ドル建ての下げは−19.4%で2020年7月に戻り、円建ては−20.1%で2020年8月に戻りました。
2022年: ドル建ては2021年12月の高値から−23.9%、戻ったのは2023年12月でした(24か月)。2021年12月から2022年9月までに、1ドルは115.06円から144.43円になりました。そのため、円建ての2022年のいちばん大きな下げは−10.5%で、2023年5月に戻りました。
30年で見ると
1996年10月から2026年9月まで、ドル建ては18.2倍、円建ては25.1倍になりました。1ドルは114.18円から157.40円になっています。
わかること
円で持つ人にとっての暴落と回復は、株の下げと為替の動きの組み合わせで決まりました。円高と株安が重なった2008年は、円の方が深く、長くなりました。円安が進んだ2022年は、円で見た下げの方が浅く、早く戻りました。
「S&P500が高値に戻った」と「自分の資産が高値に戻った」は、円で持つ人には別のことです。自分の口座の値を、円の高値と比べて見るのが確かです。
暴落から戻るまでの長さは「暴落から元に戻るまでの期間」、下げの途中で積立を止めた場合は「暴落中に積立を止めたら」にまとめました。
関連するガイド
暴落から元に戻るまでの期間 ・ 暴落中に積立を止めたら ・ リバランスのやり方
SPYの月末の終値(配当込みの調整済み)と、同じ日の為替(JPY=X)の終値で計算。円建てはSPYの値を円に換算した値で、日本の投資信託の値そのものではありません。手数料・税・為替の手数料は入れていません。下げと回復は月末の値だけで数えています。