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医師が資産形成をする、本当の理由

医師は高収入だから、資産形成なんて簡単だ。

長い間、そう思われてきました。

確かに、デフレの時代にはそれでよかったのかもしれません。

安定した給与がある。

勤務医なら毎月一定の収入が入る。

開業医なら患者が来れば売上が立つ。

多少お金の使い方が雑でも、毎年また働けば補充できる。

でも、環境は変わりました。

物価は上がる。

人件費も上がる。

金利もある。

一方で、医師は自分の診療価格を自由には決められません。

日本の保険診療では、

自分のサービスの価格を、自分では決められない。

これは、インフレの時代にはかなり特殊な立場です。

普通の商売なら、値段を変えられる

材料費が上がる。

人件費が上がる。

家賃が上がる。

そうなれば、多くの商売は値上げを考えます。

1,000円だったものを1,100円にする。

サービス料金を5%上げる。

原価上昇を価格へ転嫁する。

それができなければ、利益率は落ちていきます。

当たり前の話です。

ところが保険診療では、それを個々の医師が自由にはできません。

スタッフの給与が上がっても、

電気代が上がっても、

医療材料が上がっても、

家賃が上がっても、

診察料を、

「来月から10%値上げします」

とはできない。

価格決定権を自分で持っていないからです。

デフレ時代には、医師は強かった

これは逆に、長いデフレ時代には医師にとって有利でした。

物価がほとんど上がらない。

金利も低い。

一方で、医師の収入は比較的安定している。

ならば、毎年同じように働いているだけでも、実質的な購買力を維持しやすい。

だから、

医師という職業そのものが、ある意味では強い資産だった。

働けば収入が入る。

それで家族を養える。

住宅ローンも払える。

老後資金も作れる。

投資について本気で考えなくても、なんとかなった医師は多かったと思います。

しかし、インフレになると構造が変わります。

インフレ社会では、「高収入」だけでは守れない

インフレでは、同じ1,500万円の年収でも価値が変わります。

食費が上がる。

教育費が上がる。

住宅価格が上がる。

金利が上がる。

人を雇っていれば人件費も上がる。

開業医なら、経費の上昇をそのまま受けます。

勤務医でも、給与が物価と同じ速度で上がる保証はありません。

つまり、

額面の収入が高いことと、経済的に強いことは別です。

ここが、これからの医師にとってかなり重要になると思っています。

医師は「自分が働く」という資産に集中しすぎている

多くの医師の最大の資産は、自分自身です。

医師免許。

専門性。

勤務能力。

信用力。

そして時間。

これは非常に大きな資産です。

一方で問題もあります。

収入の大部分が、

自分が働き続けること

に依存しています。

診療をやめれば、給与は止まる。

外来をやめれば、売上は減る。

手術をしなければ、収益は落ちる。

病気になれば働けない。

年齢を重ねれば、同じペースで働き続けられるとは限らない。

つまり医師は高収入でありながら、

人的資本への集中投資

になっていることが多い。

これは意外と脆い構造です。

そして、医療そのものも変わる

もう一つあります。

医療制度です。

診療報酬。

社会保険。

勤務医の待遇。

病院経営。

開業規制。

医師偏在対策。

高齢化。

人口減少。

これらは、個人の医師にはコントロールできません。

今の条件が10年後もそのままとは限らない。

これは医療に限らず当然の話ですが、医師の場合は特に、

自分では価格を決められない市場に、人生の収入源を集中している

という問題があります。

だから僕は、医師の資産形成を、

「さらにお金持ちになるための話」

とはあまり考えていません。

もっと根本的な話です。

資産形成は、医療以外の経済基盤をつくること

仮に、医療以外にも十分な経済基盤があったらどうでしょう。

診療報酬が変わった。

慌てなくていい。

勤務条件が悪くなった。

無理に残らなくていい。

開業医なら、無理に患者数を増やさなくていい。

売上を維持するためだけに、診療の形を変えなくていい。

自分が正しいと思わないことを、

「経営のためだから」

と無理に選ばなくていい。

これはかなり大きな違いです。

家族を守ることも、同じくらい重要です

社会的な意義だけを語るつもりもありません。

医師も一人の人間です。

家族がいる。

子どもがいる。

住宅がある。

教育費がかかる。

親のこともある。

自分が病気になるかもしれない。

いつまで今のように働けるかも分からない。

だから、

自分と家族の生活を守る。

これは当然大切です。

むしろ、家族の生活が安定しているからこそ、

医師として無理な働き方をしなくて済む。

この二つは対立しません。

お金があるから、働かなくなるわけではない

資産形成というと、

「FIREして働かない」

という話に寄りがちです。

でも医師では、必ずしもそうではないと思います。

むしろ逆です。

生活のために医療をする必要がなくなった時、初めて医療そのものに集中できる。

そんな側面があります。

患者一人にもう少し時間をかける。

必要だと思う患者を診る。

不要だと思うことをしない。

自分が意味があると思う仕事を続ける。

地域に必要なら続ける。

後輩を育てる。

研究をする。

家族との時間も守る。

経済的な土台は、

仕事をやめるためだけのものではありません。

仕事を自分の意思で続けるためのものでもあります。

経済的な余白は、医師としての余白になる

僕が一番重要だと思っているのはここです。

経済的に追い込まれるほど、

選択肢は減ります。

患者数を減らせない。

勤務日数を減らせない。

嫌な条件でも断れない。

制度変更に過剰に怯える。

売上を落とす判断ができない。

逆に、経済的な余白があれば、

「本当に必要か」

を基準に判断しやすくなる。

これは、自分のためだけの話ではありません。

患者にとっても意味があります。

医師の資産形成には、社会的な意味がある

僕は、ここが医師の資産形成の少し面白いところだと思っています。

自分のお金を増やす。

家族を守る。

老後に備える。

もちろん、それだけでも十分な理由です。

でも医師の場合、その先にもう一段あります。

経済的な自由が、医師としての自由につながる。

そして医師としての自由が、

患者のための医療を選びやすくする。

つまり、

Wealth

→ Stability

→ Freedom

→ Better Medicine

です。

資産を増やすことがゴールではありません。

自分と家族を守る。そして、その余白を医療へ返す

僕が考える医師の資産形成は、

単純に言えばこの三段です。

Private

自分と家族を守る。

Professional

医師としての自由を守る。

Social

その自由を、より良い医療として社会へ返す。

だから、資産形成をする。

少なくとも僕は、そう考えています。

医師が投資について考える理由

医師は、お金の専門家になる必要はありません。

毎日相場を見る必要もない。

投資そのものを人生の中心にする必要もない。

むしろ、

医療だけに人生の経済基盤を集中させないこと。

これが重要なのだと思います。

自分が働かなくても働く資産を持つ。

医業とは別の場所に経済的な土台をつくる。

その土台が大きくなるほど、

人生の選択肢は増える。

家族を守れる。

医師としての自由も増える。

お金を働かせるのは、お金のためだけではない

資産形成という言葉は、どうしても金額の話になりがちです。

何億円持っている。

年利何%だった。

何歳でFIREした。

もちろん数字は大切です。

でも、医師にとって本当に欲しいのは、

その先にあるものかもしれません。

制度が変わっても慌てない。

収入条件が変わっても選べる。

家族を守れる。

そして、

今日の患者に集中できる。

経済的な余白は、

医師としての余白になる。

僕は、その余白を作ることも、

これからの医師に必要な準備の一つだと思っています。

  1. Wealth
  2. Stability
  3. Freedom
  4. Better Medicine

では、忙しい医師はどう続ける?