年収は上がった。でも自由にはなっていない。
年収は上がった。でも自由にはなっていない。
30代を過ぎた頃から、医師の収入はかなり安定してきます。
専門医を取り、外勤先も増え、病院の中でも任される仕事が増える。
勤務先にもよりますが、年収1,200万円、1,500万円、あるいはそれ以上。
世間から見れば、十分に高収入です。
僕自身も、医師は経済的にかなり恵まれた職業だと思っています。
でも、30代後半から40代くらいになると、少し妙なことに気づきます。
年収は上がった。
でも、思ったほど自由にはなっていない。
稼げるようになったのに、時間は減っていく
医師の収入を増やす方法は、かなり分かりやすいです。
当直を増やす。
外勤を増やす。
手術をする。
診療日を増やす。
より責任のある立場になる。
つまり多くの場合、
自分の時間を、より高い価格で売る。
これで収入は増えます。
若い頃より、1時間あたりに稼げる金額も上がっている。
それ自体は悪いことではありません。
人的資本が高くなったということです。
ただし、その収入の多くは、
自分が働き続ける限り発生するお金
でもあります。
医師は、人的資本が強すぎる
医師は自分自身という資産がかなり強い。
医師免許。
専門性。
信用力。
働けば収入になる。
他の職業と比べても、かなり強い人的資本です。
だから、逆に気づきにくい。
働けば稼げるので、
資産を育てなくても、当面は困らない。
これが問題です。
お金が必要なら、外勤を一つ増やせばいい。
住宅ローンが重ければ、当直を増やせばいい。
教育費が増えれば、土曜勤務を入れればいい。
かなりの問題を、
「もっと働く」
で解決できてしまう。
だからこそ、30代40代は危ない。
年収1,500万円と、資産1億円は全く違う
たとえば、年収1,500万円の医師がいたとします。
一見すると、かなり余裕があるように見えます。
でも住宅ローンがある。
子どもの教育費がある。
車を買う。
旅行にも行く。
生活水準も少しずつ上がる。
税金も社会保険料も大きい。
気づけば、
「今年もかなり稼いだはずなのに、資産はそれほど増えていない」
ということが起こります。
これは珍しい話ではありません。
高収入であることと、
資産を持っていることは別です。
もっと言えば、
IncomeとWealthは別物です。
50歳になっても、同じ働き方をしたいか
30代の当直はできる。
40代前半でも、まだできる。
でも50代になった時にどうでしょう。
週5勤務。
外勤2日。
月4回当直。
土曜診療。
それを、
「できるかどうか」
ではなく、
「やりたいかどうか」
で考える必要があります。
資産がなければ、選択肢は減ります。
住宅ローン。
教育費。
生活水準。
家族の支出。
それを維持するために、
今と同じだけ働く必要がある。
収入は高い。
でも、
働く量を減らせない。
これは本当に自由と言えるでしょうか。
高収入なのに自由ではない
勤務医の経済的な弱点は、
貧しいことではありません。
むしろ逆です。
高収入だからこそ、生活水準も高くなりやすい。
そして、その生活を、
自分の労働収入で支え続ける。
気がつけば、
年収は十分高いのに、
当直を一本減らすことに不安を感じる。
外勤をやめられない。
嫌な勤務先でも簡単には辞められない。
大学を離れるかどうかを、お金の問題で迷う。
本当は海外留学したいのに、収入が止まるのが怖い。
子どもが小さい数年間だけ勤務を減らしたいのに、できない。
これは、
お金がない状態とは少し違います。
選択肢がない状態です。
資産形成は、老後のためだけではない
資産形成というと、
60歳、65歳以降の老後資金をイメージする人が多いと思います。
でも、30代40代の勤務医にとっては、もっと近いところに価値があります。
資産があれば、
- 外勤を一つ減らせる
- 当直を減らせる
- 海外留学に行ける
- 大学院に戻れる
- 開業を急がなくていい
- 開業しないという選択もできる
- 子どもが小さい間だけ勤務を減らせる
- 合わない職場を辞められる
- 週4勤務を選べる
- つまり、
資産は将来の選択肢を買うもの
でもあります。
医師の30代40代は、資産形成に向いている
これは単純です。
人的資本が高いからです。
収入が高い。
信用もある。
まだ働ける年数も長い。
つまり、
金融資本へ変換できる余力が最も大きい時期
です。
この時期の収入をすべて消費に回すか。
それとも一部を、
自分が働かなくても残る資産
へ変えていくか。
10年後、20年後の差はかなり大きくなります。
今の高収入は、永遠に続くものではない
ここで言いたいのは、
医師の将来が暗い、
という話ではありません。
30代40代の勤務医は、まだ強いです。
働けば稼げる。
転職もしやすい。
外勤先もある。
専門性もある。
だからこそ、
強いうちに、その強さを資産へ移しておく。
これが重要だと思っています。
人的資本は年齢とともに変わります。
でも金融資本は、うまく育てれば、
自分が働く量とは別に残ります。
外勤を増やすか、資産を増やすか
お金が足りない時、
外勤を増やす。
これは短期的にはかなり合理的です。
ただし、その外勤収入は、
勤務をやめた瞬間にゼロになります。
一方で、
その収入の一部を資産へ変えると、
少しずつ、
「自分が働かなくても残るもの」
が増えていきます。
だから僕は、
30代40代の医師にとって、
外勤を増やすことと、資産を増やすことは全く別の意味を持つ
と思っています。
資産が増えると、キャリアの見え方が変わる
面白いのはここです。
資産が少ない時は、
キャリアの選択に収入がかなり入り込みます。
どちらの病院の給与が高いか。
どの外勤が高いか。
教授に残れと言われた。
開業した方が儲かるのではないか。
でも資産が増えると、
少しずつ、
「本当に自分は何をしたいのか」
で決められるようになります。
臨床が好きなら臨床を続ける。
研究が好きなら研究する。
教育が好きなら後輩を育てる。
家族との時間が必要なら勤務を減らす。
別に働かなくなる必要はありません。
むしろ、
働く理由を自分で選べるようになる。
これが大きい。
FIREしたいわけではない
医師の資産形成は、何でもFIREにつなげる必要はないと思います。
医師という仕事が好きなら、続ければいい。
僕自身、資産形成の目的は、
「一日でも早く仕事を辞めること」
だけではないと思っています。
むしろ、
辞めてもいいのに、続けている。
という状態の方が強い。
生活のために働くしかない状態と、
自分がやりたいから働いている状態は、
外から見れば同じ勤務医でも、
中身はかなり違います。
30代40代で手に入れたいのは、お金ではなく選択肢
資産形成の目的を、
「1億円持つこと」
だけにすると、少しつまらない。
本当に欲しいのは、
その1億円で買える車でも時計でもないかもしれません。
欲しいのは、
選べること。
当直する。
しない。
大学に残る。
出る。
開業する。
しない。
海外へ行く。
日本にいる。
週5で働く。
週4にする。
その時々で、
自分や家族にとって一番いい選択をする。
そのために、
経済的な余白をつくる。
IncomeをAssetsへ変える
勤務医の30代40代は、
人的資本という非常に強いカードを持っています。
そのカードを、
一生使い続ける必要はありません。
今の高い収入を、
少しずつ別の資本へ移していく。
Income
→ Assets
→ Optionality
僕は、これが30代40代の勤務医にとって、
資産形成をする一番分かりやすい意味だと思っています。
年収を上げることがゴールではありません。
年収を、将来の自由に変える。
それができれば、
50歳になった時、
「まだ働けるから働く」
ではなく、
「自分はどう働きたいか」
を選べるようになります。
その選択肢を、
今のうちに作っておく。
僕は、それが30代40代の勤務医にとっての資産形成だと思っています。
- Income
- Assets
- Optionality